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フリーランスにおすすめの節税共済

政府が推し進める「働き方改革」の一環として、SEやライターなどのフリーランスが注目を集めています。
その名の通り、まさに働く相手先や時間に縛られることなく、自立して事業を運営できる醍醐味がある一方、安定して仕事を獲得することや経理・税務といった面にも目配りする必要が出てきます。

そこで今回は、フリーランスとして働く方を対象に、節税しながら賢く資産形成を図る手法として3つの共済制度をご紹介します。

フリーランスにおすすめの節税共済

節税共済その1:小規模企業共済

おすすめの節税共済の一つ目が、「小規模企業共済」です。

こちらは経営者の退職金として、節税メリットを活かしながら老後資産の形成を図ることができる制度になります。

小規模企業共済はその名の通り、小規模企業の経営者や役員、個人事業主など向けに、将来の備えとして積み立てを行う仕組みで、掛け金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、所得税や住民税を節税することができます。つまり、節税をしながらまとまった資金を貯蓄することができるお得な制度設計になっています。


月々の掛け金は1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額をできるため、個々人のライフプランや家計状況に併せて柔軟に設計することが可能です。

そして、退職や廃業時に共済金(解約手当金)を受け取ることができ、受け取り方法は一括や分割、もしくはその併用を選択することが可能になります。

仮に一括受け取りを選択した場合には退職所得控除の対象に、分割受け取りを選んだ際には公的年金等控除の対象になり、それぞれ税制優遇メリットがあります。つまり、小規模企業共済は始める際にも終わる時にも税制メリットを有していることになります。更に、低金利の貸付制度も利用でき、傷病災害時貸付や新規事業展開等貸付けなど用途別に様々な貸付制度が用意されています。

小規模企業共済制度を運営する独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページ内に掲載されている節税の例を確認すると、たとえば課税される所得金額が600万年で掛金月額3万円の場合、11万円ほどの節税が見込まれます。同ホームページ内に節税額シミュレーションツールもありますので、ご自身のケースでも試算してみてください。


一方で小規模企業共済を活用する際の注意点として、共済金に関して掛け金の納付月数が12カ月未満は掛け捨てとなり、また40カ月(20年)未満で任意解約をした場合、掛け金合計額を下回ることです。

更に加入資格に関しては、たとえば建設業や製造業、運輸業、サービス業、不動産業、農業などを営み、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社などの役員となっており、いくつかの条件があります。筆者も小規模企業共済に加入しておりますが、中小企業基盤整備機構から加入申込書を取り寄せ、申し込み受付に対応している金融機関で書類を提出しました。加入を検討されている方は、一度中小企業基盤整備機構に連絡して、加入条件などを満たしているか確認のうえ、申し込み手続きをするのが良いかと思います。

節税共済その1:小規模企業共済

節税共済その2:経営セーフティ共済

おすすめの節税共済の2つ目が「中小企業倒産防止共済制度(愛称:経営セーフティ共済)」です。

こちらは取引先の企業が万が一倒産した際に、資金力に劣る中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを未然に防ぐための制度となります。
経営セーフティ共済では、無担保・無保証人で掛金総額の10倍まで、必要な事業資金を借り入れすることができるほか、掛け金は損金もしくは必要経費として計上できる税制優遇メリットも有しています。

同共済制度の掛け金月額は5,000円から20万円までの範囲にて5,000円単位で自由に設定が可能で、増額・減額もできます。掛金総額が800万円になるまで積み立てることが可能です。また掛け金の前納も可能で、1月につき掛金月額の1,000分の5の前納減額金が発生します。

そして共済を解約する際には、自己都合の場合でも掛け金を12カ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40カ月以上納めているケースでは掛金全額が戻る仕組みになっています。つまり経営セーフティ共済は、節税効果を発揮しながら急な資金を確保する手段として、なおかつ一定規模の貯蓄を計画的に行う手段としても活用することができる制度です。

一方で経営セーフティ共済を活用する際の注意点もあります。たとえば個人事業主の場合、受け取る積立金は事業所得として見なされ課税対象となります。つまり課税の繰り延べを行っているといえるため、所得税率の低い時期に積立金を受け取るなどの工夫をしなければ、節税ではなく増税になってしまう可能性もありますので注意しましょう。

なお経営セーフティ共済に関しても、加入資格として継続して1年以上事業を行っている中小企業者で、製造業や建設業、運輸業であれば資本金または出資金が3億円以下、常時使用する従業員数が300人以下、サービス業であれば資本金または出資金が5,000万円以下、常時使用する従業員が100以下、小売業であれば資本金または出資金が5,000万円以下、常時使用する従業員が50人以下とそれぞれ業種によっても条件がありますので、加入を検討される際は中小企業基盤整備機構に連絡し加入条件や手続き方法を確認してみてください。

節税共済その2:経営セーフティ共済

節税共済その3:中退共

そしておすすめの節税共済の3つ目が、「中小企業退職金共済(略称:中退共)」です。

こちらの共済制度はその名の通り、中小企業を対象として、安全で確実、且つ有利な条件の退職金制度となります。中退共に関しては、これまでの「小規模企業共済」や「経営セーフティ共済」を運営する中小企業基盤整備機構とは異なり、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営母体です。そして中退共も、拠出する掛金は、法人の場合は損金に、個人事業主の場合は必要経費にそれぞれ参入することができ、全額非課税扱いとなります。つまり小規模企業共済同様に、退職金を確保すると共に節税することができるお得な制度になっています。

中退共の掛け金月額は、5,000円から16種類にわたって選択することができ、パートタイマーなどの短時間労働者を対象として、掛け金月額2,000円から3種類の掛け金額より選ぶことも可能です。更に中退共の制度の特徴として、国の助成もあります。中退共に新規に加入する場合、掛け金額の2分の1を加入後4カ月目から1年間にわたり国が助成してくれます。パートタイマーなど短時間労働者に対しても、金額は異なりますが同様の助成を受けることができる仕組みになっています。また掛け金月額が18,000円以下の従業員の掛け金を増額変更する際には、増額分の3分の1を1年間にわたり、国が助成してくれます。ただし、2万円以上の掛け金月額の増額の場合は、国の助成対象から外れます。

なお、中退共への加入を検討する場合、小規模企業共済との併用はできませんのでご注意ください。

また小規模企業共済や経営セーフティ共済同様に、一度独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部へ連絡し、加入資格や具体的な手続き方法を確認することで、手続きがよりスムーズに進むかと思います。

節税共済その3:中退共

まとめ

最後となりますが、これまでフリーランスとして働く方を対象に、節税しながら賢く資産形成を図る手法として3つの共済制度をご紹介してきました。

ご自身のライフプランや家計状況を勘案し、これらの共済制度が有する特徴を踏まえた効率的な資産形成を実践してみてはいかがでしょうか。

Written by ファイナンシャルライター
元外資系証券マン。現在はフリーランスとして金融関連の記事を執筆しています。趣味は海外旅行、海外サッカー観戦など。

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