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自営業者や専業主婦(夫)こそイデコを活用した老後資産の形成を

現在の日本は、老後難民や年金破綻といった将来を不安視するワードが飛び交っています。

また受け取れる年金額が目減りする懸念も高まっており、自助努力による資産運用が求められている時代でもあります。

特に厚生年金や退職金などがない自営業者や専業主婦(夫)は、公的年金にプラスアルファして資産形成を図る必要があるといえるでしょう。

そこで今回は、具体的な数字を示した上で老後生活をイメージしていただき、豊かな老後生活を送るために積極的に活用していただきたいイデコ制度について解説します。

自営業者や専業主婦(夫)こそイデコを活用した老後資産の形成を

老後生活をイメージしよう

漠然とでは老後生活をイメージしづらいと思われますので、まずは老後生活にかかる具体的な数字を示すことにします。

たとえば、厚生労働省が公表した平成29年度家計調査によると、高齢無職世帯(世帯主が60歳以上の無職世帯)で、世帯主の年齢が60歳から64歳の世帯における実収入は月額16.6万円ほどです。

一方で同年齢帯の世帯における消費支出は月額29万ほどになっており、何も対策を練らないと毎月赤字を垂れ流すことになりかねません。

2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳と共に過去最高を更新しているなか、経済面から見る限りでは厳しい老後生活が待ち受けていると言わざるをえないでしょう。


また、少子高齢化を背景として日本の年金制度が揺らぐなか、私たちが受け取れる年金額が目減りする懸念も高まっています。

将来受け取れる年金額に関しては、厚生労働省年金局が公表している平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況を参照すると、いわゆるサラリーマンの平均年金月額は、平成29年度末現在で14万7千円です。

一方で自営業者などが受け取れる国民年金に関しては、平成29年度末現在で5万6千円です。

これらのデータを勘案するに、自営業者や専業主婦(夫)の方々こそ、厚生年金や退職金といった老後の生活をより安定的にする資金が不足しているため、若いうちから積極的に老後資産の形成を図る必要があると考えられます。

老後生活をイメージしよう

イデコの商品性

そこで有効活用をしていただきたい制度が個人型確定拠出年金、愛称イデコ(iDeCo)です。
まずイデコとは、豊かな老後生活を送るための私的年金制度であり、国民年金とは異なり強制加入しなければならないものではありません。

しかしながら、上記で老後生活の関連した具体的なデータを示した通り、ゆとりある老後生活を送るためには、何らかの方法で老後資産の形成を図る必要があります。


現在は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての方がイデコに加入できるようになりました。

そして、イデコは自分自身で掛け金を拠出し、自己責任のもと自ら運用を手掛け、積み立てた資産を自ら受け取る制度設計になっています。

また、銀行の定期預金や個人向け国債などのように満期まで保有していれば元本が保証される金融商品でもないため、運用成績次第で資産を大きく増やすことも、元本が目減りしてしまうこともあります。

そしてイデコは月々5,000円から始めることができるため、家計やライフプランを勘案して制度活用を図ることが可能です。
職業などによって拠出限度額も決まっており、公的年金プラスアルファの資産形成が強く求められる自営業者や専業主婦(夫)は、それぞれ月額6.8万円、2.3万円となっています。

ちなみに自営業者である筆者もイデコで老後資産の形成を実践しておりますが、付加年金にも加入しています。
その場合、イデコの拠出限度額は国民年金付加保険料分が差し引かれますので注意してください。

イデコの商品性

イデコのメリット

そして、イデコを活用する際の最大のメリットは、拠出時と運用時、受取時の3段階で税制優遇を享受することができることです。

つまり拠出時には、掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税および住民税を節税することができます。

またイデコの資産運用時には、投資信託の譲渡益などに対し課せられる20.135%の税金が非課税になります。

そしてこれまで積み立ててきた資産の受取時には、年金形式で受け取る場合公的年金等控除の対象に、一時金で受け取る際には退職所得控除の対象になり、それぞれ節税に繋げることが期待できます。

イデコのメリット

イデコの注意点

一方でイデコを活用する際の注意点としては、イデコは老後資産の形成を図ることを目的とした制度であるため、原則60歳まで積立資産を引き出すことはできません。

つまり、今月は家計が厳しいからといってイデコで積み立てた資産を取り崩すことはできませんので注意してください。

また、60歳からイデコの積立資産を受け取るためには、イデコに加入していた期間等(通算加入者等期間)が10年以上必要です。

同期間が10年に満たない場合、順次受給可能な年齢が繰り下げられ、加入期間等が8年以上10年未満の場合61歳から、6年以上8年未満は62歳から、4年以上6年未満は63歳から、2年以上4年未満は64歳から、1月以上2年未満は65歳から受け取ることが可能になります。


さらに課税所得がない方に関しては、イデコのメリットである拠出時の所得控除は受けられません。

また、イデコを活用する際には様々な費用が掛かってきます。

同制度は仮に20歳から60歳までの40年間にわたり加入した場合、長期間の資産運用となるため、いかにコストを抑えるかが運用成績を向上させるうえで大きなポイントになってきます。

そのため、イデコ加入時には必ず費用を確認するようにしましょう。


なお主にかかる費用としては、加入時に一律2,777円をイデコ制度の運営主体である国民年金基金連合会に、イデコの運用期間中には国民年金基金連合会に月額103円、事務委託手数料として信託銀行に月額64円程度、そして金融機関ごとに異なってくる口座管理料が月額無料とするところもあれば450円ほど徴収する運営機関もあります。

これらの手数料を合計すると、おおむね月合計は167円から617円ほどで、金融機関によってばらつきがあることを分かっていただけたかと思います。

イデコの注意点

かんたん税制優遇シミュレーション

それでは国民年金基金連合会のイデコ公式サイト内にある、かんたん税制優遇シミュレーションを活用し、イデコに加入することでどのくらいの税制優遇メリットがあるか見ていきましょう。

今回は、年齢30歳、年収500万円、掛け金を2.3万円と仮定してシミュレーションしますと、60歳までの30年間にわたるイデコによる税制優遇額は165万円ほど、イデコの積立総額は828万円にものぼります。

同シミュレーションツールは、年齢と年収、そして月々の掛け金額を入力するだけで簡単にシミュレーションが可能ですので、ぜひ皆さんもご自身のケースをもとに活用してみてください。

イデコに加入していなければこのような大きな税制優遇を受けられませんし、さらにサラリーマンと比較して受け取れる年金額が少ない見込みの自営業者や専業主婦(夫)にとって、効率的に老後資産を形成できる制度であるイデコを積極的に活用するのが良いかと思われます。

かんたん税制優遇シミュレーション

かんたん税制優遇シミュレーション

まとめ

最後となりますが、これまで高齢世帯の収支状況の見込みや受取年金額の目安などをお伝えしたほか、公的年金にプラスアルファする形で私的年金制度であるイデコの商品性を解説してきました。

老後は海外旅行や音楽といった趣味を存分に楽しみ、経済的にも精神的にもゆとりある生活を送るためには、若いうちから計画的に資産形成を図る必要があります。

その際には、今回ご紹介したお得な税制優遇制度であるイデコを活用することで、より効率的に資産形成を実践されてみてはいかがでしょうか。

Written by ファイナンシャルライター
元外資系証券マン。現在はフリーランスとして金融関連の記事を執筆しています。趣味は海外旅行、海外サッカー観戦など。

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