税金・税務・財務・資産運用
経理の目的を理解してスムーズな開業を実現しよう【個人事業主必見】
個人事業主になると 、サラリーマンの頃とは違う面倒な作業が発生します。
それが経理。
簿記だの勘定科目だの難しい言葉が出てくるので、それだけでアレルギー反応を起こしてしまう人も多いのではないでしょうか。
ですが、個人事業主となったからには、そのような経理業務もしっかり自分で処理しなければなりません。
今回は、個人事業主の経理と目的について説明します。これを読むことで、経理の重要性とメリットが理解できるでしょう。
目次
経理の目的とは
経理の目的は確定申告だけではありません。
本来の目的は経営に活かすということ。
まずは帳簿付けが基本になります。収入や経費を数字化することで、あなたの事業を客観的に捉え、見直すことができるようになります。
自ら考え、改善や節税などの対策を打つことで経営感覚を養えるのです。
どんぶり勘定の経理が持つ弊害を知ろう
どんぶり勘定だと具体的な儲けの金額を把握することが難しくなります。売り上げは意識しやすいですが、その売り上げを立てるために発生した経費は目に見えないものも多いからです。
どんぶり勘定のもっとも大きな弊害は具体的な儲けの金額をしっかり把握できないこと。売り上げの把握は、みなさん意識が高く細かくチェックしなくても比較的容易に把握することが可能です。
しかし、そこで発生した経費についてはどうでしょうか。交通費や会議費、取材に必要な資材購入費など実は目に見えない経費が発生しており、もっとも大切な利益を圧迫していることは多いです。
あれ、儲かったと思ったのに手元に残ったお金が少ないぞ?という経験が多い人は要注意です。
ずさんな経費には怖い罰則も
経理をしっかり行わないと、さまざまな罰則で課税されることがあります。
商法第19条
商人(「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」商法4条①より)は、その営業のために使用する財産について、法省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿および貸借対照表)を作成しなければならない。
所得税法
平成26年からは、事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行う全ての方は、記帳・帳簿の保守義務がある。
個人事業主はサラリーマンのように年末調整などはなく、自身で経理をきちんとおこない、確定申告を経て納税します。
そのメリットの1つは、家や車の購入時にローンを組む際、信用を得られることです。確定申告書類は金融機関向けなどの証明書類にもなります。
しかし面倒だからと確定申告をしていないと無申告加算税(原則として納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円を超える部分は20%)や延滞税(納付期限の翌日から2ヶ月は4.1〜7.3%、それ以降は14.6%)が課せられるということにも。
そんなことにならないように、しっかりと確定申告を行っておきたいところです。
はじめに必要な資金計画を作りましょう
「さて、開業しようか」と決めたら、はじめに資金計画を立てましょう。これは会社でいうところの資本金の計画です。個人事業であっても、とても大切な計画になります。
事務所にかかる費用や携帯電話、パソコンなど、開業するにあたって必要になる費用を計算するわけです。事業によっては、事務所や店舗を借りる必要があるかもしれません。仕入れが発生する、人を雇うなど、事業によって先行投資の規模が大きく変わります。
それらにかかる準備費用がいくらになるのかを計算して、自己資金内で可能か、それとも外部からの資金調達が必要かどうかを決めましょう。
収支計画を立てよう
金融機関からの資金調達が必要になった場合、準備しなければいけないのが収支計画です。
融資審査を受ける場合「なぜその金額の融資が必要か?」「その融資を受けたお金をどう使うか?」ということを数字で説明する「開業時資金計画書」が必要になります。
その次に立てるべきが収支計画です。毎月のランニングコストや収益がいくらぐらいになるかを予測します。細かな勘定まで記入して現実的にプラスになって利益が出るのであれば借入金の返済もきちんとできます。もちろん借入れ無しで事業運営できるのであれば、その分手元にお金が残ります。
しっかり経理にもとづいた計画を立てて、着実なスタートを切りましょう。
毎日の経理を行う業務面の目的とは
経理処理の重要性はわかったので、さっそく帳簿をつけてみたいと思われたと思います。それでは帳簿づけはどの程度の頻度で行えば良いのでしょうか。
毎日処理がよいとか確定申告時に一括でOKなどいろいろな意見があるかと思いますが、ここでは毎日の経理(帳簿づけ)を行う業務面のメリットについて説明します。
まずは収支・支出・利益の把握がリアルタイムでできること。事業が順調に進んでいるのかは、やはり個人で事業を行っている事業主としては気になるところ。売り上げはきちんと出ているのか、支出額は適当であるか、利益が少なくないかなどをリアルタイムでチェックすることができます。
順調に成果が出ていれば、心に余裕も生まれますし、自信にもつながります。もし成果が出ていないのであれば、営業方法、支出の粗利計算、価格設定の見直しなどの対策をオンタイムで行うことができるわけです。
次に資金繰りがスムーズになること。毎日の収支を把握することで、効率よく資金を使うことができます。お金の動きがしっかり見えていると、やりくりの予定も計画的に立てることができます。
資金繰りの把握がしっかりできていれば、多少サイトの長い掛売りや手形決済などの案件でも利益がとれる案件であれば、積極的に受注しにいけるなど強気な営業も可能になります。
それだけビジネスの幅を広げることができるというわけです。
毎日の経理を行う経営・対外面の目的とは
経営改善の直接的な指標になることです。緻密な経理処理を行うことによって、事業を伸ばすきっかけにつなげることができます。
売り上げの要となり、しっかり利益がとれる商品やサービスがわかり、事業を発展させる予測につなげることができます。業績が伸び悩む時には原因を突き止めて、経営改善に役立てることヒントを得ることができるでしょう。
それから第三者からの理解が得られるようになります。
しっかりと経理処理を行っていることで、その帳簿などが金融機関などの第三者に信用をあたえて理解を得られやすくなります。
例えば事業拡大や設備投資などの資金が必要な時、帳簿は経営内容を伝える説得材料になります。
また従業員を雇っている場合については、業績悪化により賞与などを削減する際にも、従業員からの理解が得やすいかもしれません。
まとめ
経理の目的は、個人事業主にもっとも重要な正確な利益の把握、そして金融機関などの第三者に対する信頼構築の証明、そして継続的な事業運営を支える大切な指標です。
この経理の目的を理解しているかどうかが、個人事業主のビジネスの成功に大きく関わっていると言っても過言ではありません。
面倒だからと後回しにしたり、どんぶり勘定にすることなく適切に経理処理を行うようにしましょう。
- Written by HIRO
- 個人事業主や法人関連のビジネスや税務記事、ウェブ関連ビジネスやSNSマーケティングなどを中心に執筆しています。