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会社員必見「副業の税金」計算・納付方法を解説|おすすめ計算機も

副業で得られた収入の金額によっては、所得税や住民税といった税金が増える可能性があります。

しかし、「どれくらいの収入だと税金がかかってくるのか、いまいちよく分からない」「税金をあまり増やしたくないけど、ある程度しっかり副業で稼ぎたい」という方も少なくありません。

そこで今回は「副業の税金」について、具体的な計算方法や便利な計算シミュレーターを紹介。副業の収入を税金に取られすぎないようにしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

会社員必見「副業の税金」計算・納付方法を解説|おすすめ計算機も

副業の税金を計算する前に

副業の税金を計算するためには、所得区分や所得控除など、税金の基礎知識を理解する必要があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

副業の税金を計算する前に

収入と所得の違い

「収入」は仕事をした報酬として得たお金であり、「所得」は収入から経費を引いたお金です。ここでいう「経費」とは、収入を得るために必要な諸費用を指します。パソコンや文房具などの購入費、打ち合わせ場所へ行く交通費などが経費に当たります。


例えば、副業で「50万円」の収入があり、経費が「20万円」かかったとしましょう。この場合の所得は、次のような計算式から算出できます。


★収入50万円-経費20万円=所得30万円


ここで導き出された「所得30万円」が、所得税や住民税といった税金の金額を計算するときに適用されることになります。

収入と所得の違い

4つの所得区分

副業で得られる所得には、主に次のような4つの種類があります。


①アルバイトやパートなどの「給与所得」


②アフィリエイトやオークションなどの「雑所得」


③クラウドソーシングやYoutuberなどの「事業所得」


④マンション・アパート経営などの「不動産所得」


 


この中で、最もやっかいなのは①の「給与所得」。


アルバイトなどの給与所得は、「源泉徴収」で税金を前払いしています。しかし、本業とは異なり、年末調整で過払い金の確認や調整ができません。そのため、確定申告が必要ないとされる「所得20万円以下」でも、確定申告をする必要があります。


一方、③の「事業所得」は、確定申告時に「青色申告」が選択可能。書類の準備が通常よりも複雑ではありますが、税制上の優遇措置を受けることができます。


また、③の「事業所得」と④の「不動産所得」は、赤字が出たときでも本業の所得と合わせて計算することができます。そうすることで、所得税や住民税を軽減できるため、大きな節税効果を期待できるでしょう。

4つの所得区分

3つの所得控除

「控除」とは、特定の金額を差し引くことを指します。「所得控除」は納税者の事情や家族構成などを踏まえ、必要に応じて税負担を軽減するということです。


サラリーマンが副業をする場合、社会保険料控除などは年末調整で差し引かれることになります。しかし、次の3つに関しては、自分で確定申告する必要があります。副業収入の節税効果を狙うなら、いずれも外せない控除ばかりです。


①医療費控除またはセルフメディケーション税制


どちらか一方のみの選択となりますが、一定の条件を満たすと還付金を受け取れる控除となっています。それぞれの条件は、次のとおりです。


 


★医療費控除 (実際に支払った医療費の合計-保険金などで補った金額)-10万円


★セルフメディケーション税制 ドラッグストアで購入した市販薬が1万2千円を超えた場合


 


②雑損控除


横領や盗聴といった被害額や、除雪費用などの負担額を控除することができます。基本的には、被害額・負担額の合計から「5万円」を差し引いた額が控除対象です。


 


③寄付金控除


市町村などへ寄附した場合、その金額から「2,000円」を差し引いた額が控除対象となります。最も身近な寄付金は、「ふるさと納税」でしょう。

3つの所得控除

副業の税金を計算する方法

では実際に、副業の税金を計算するとなると、どのような方法があるのでしょうか。所得別・税金別にそれぞれ見ていきましょう。

副業の税金を計算する方法

所得の計算方法

所得の計算方法は、基本的に「収入-経費」です。しかし、所得の種類によっては、若干の違いが出てくるものもあります。


 


①給与所得


給与所得の場合は、収入に応じた経費額があらかじめ決められています。これを「給与所得控除」といい、令和2年分の詳しい金額は次のとおりです。年度ごとに金額が変動するため、最新情報を随時調べるようにしましょう。


 


給与等の収入金額


(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額


1,625,000円まで 550,000円


1,625,001円から 1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円


1,800,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円


3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円


6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円


8,500,001円以上 1,950,000円(上限)


 


ここから給与所得を計算する方法は、次のとおりです。給与合計金額は、「本業」と「副業」の収入を合算することを忘れないでください。


★給与所得=1年間の給与合計金額-給与所得控除額


 


②雑所得


雑所得の計算は給与所得とは打って変わり、非常に簡単。基本的な所得計算と同じで、「収入-経費」でOKです。


 


③事業所得・不動産所得


事業所得と不動産所得も基本的な所得計算と同じですが、青色申告をしている場合はさらに控除を差し引くことができます。控除額の違いは帳簿の様式によるものであり、簡易的「単式簿記」で10万円、「複式簿記」で55万円あるいは65万円です。そのため、計算式は次のようになります。


★所得=収入-経費-青色申告特別控除(10・55・65万円のいずれか)


 

所得の計算方法

所得税の計算方法

所得税を厳密に計算するときには、先ほど算出された所得金額から「所得控除」を差し引いた「課税所得額」を計算する必要があります。簡単に計算したい場合は、確定申告をする人全員に適用される「基礎控除48万円」を差し引いて計算すると良いでしょう。


★課税される所得金額=所得金額-所得控除(48万円または自分で計算した額)


 


また、所得税は所得が高いほど税率が高くなる「累進課税制度」が適用されます。所得税の税率と控除額の早見表は、次のとおりです。


 


課税される所得金額 税率 控除額


1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円


1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円


3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円


6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円


9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円


18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円


40,000,000円 以上 45% 4,796,000円


 


さらに、令和19年(2037年)までは東日本大震災の復興のために、「復興特別所得税」がかかってきます。つまり、最終的に納付する所得税の金額は、次の計算式で算出可能です。


★納付する所得税額=課税所得額×税率-税額控除+復興特別所得税

所得税の計算方法

住民税の計算方法

本来の住民税は非常に難解な計算式が必要ですが、会社員が副業したときの住民税は簡単に計算できます。副業の所得から計算される住民税は、「一律10%」だからです。例えば、「副業の所得が50万円」なら「住民税は5万円」となります。所得税の計算が大変なだけに、少し拍子抜けする方も多いのではないでしょうか。


ただし、所得税は原則「所得金額が20万円以下」なら増税することはありませんが、住民税は1円でも副業の所得が増えたら納付する必要があります。また、1年前の所得に掛け合わせて計算される点にも注意。今年の所得が去年より少ない場合でも、去年の所得から住民税が計算されるため、相対的に税負担が大きくなってしまいます。


 

住民税の計算方法

税金を簡単に計算したいときには「計算シミュレーター」がおすすめ

副業に関係する税金のうち、特に所得税は自分で計算するとなると非常に大変です。そのようなときは、自動で税金を計算してくれる「計算シミュレーター」を使用してみてはいかがでしょうか。

税金を簡単に計算したいときには「計算シミュレーター」がおすすめ

副業の税額診断

「副業の税額診断」は、クラウド会計ソフト freee会計が提供するシミュレーター。会社員としての年収や、副業の年収などを入力することで、確定申告の必要性や納税額を簡単に確認できます。

副業の税額診断

副業確定申告シミュレーター

「副業確定申告シミュレーター」は、IT求人会社コアデルが提供するシミュレーター。年収などの基本的な情報の他、配偶者の有無や同居高齢者の人数などを入力することで、より詳細な計算が可能です。


 

副業確定申告シミュレーター

副業の税金を納付する方法

最後に、副業の税金を納付する方法を税金別に見ていきましょう。特に、本業の会社に副業がバレたくない場合には要チェックです。

副業の税金を納付する方法

所得税の納付方法

所得税の主な納付方法は、「現金納付」「振替納付」の2つ。納付期限は、現金納付が「翌年3月15日」、振替納付が「4月中旬(20日)」となっています。最近では、「e-Tax」というサービスを利用したり、クレジットカードで納付したりする方も少なくありません。

所得税の納付方法

住民税の納付方法

住民税の主な納付方法は、「特別徴収」「普通徴収」の2つ。特別徴収は、本業の給与から天引きされます。しかし、住民税額の変動により、副業の存在が会社にバレてしまうことも。そのため、副業がバレたくないサラリーマンは、自分で住民税を納める「普通徴収」を選ぶことが多いです。


ただし、市町村によっては、普通徴収への変更を受け付けていない場合があります。副業を始める前に徴収方法の変更が可能か確認したり、思い切って副業OKな会社へ転職したりするのも1つの方法です。

住民税の納付方法

まとめ

副業で得られた収入には、所得税や住民税がかかってきます。金額によっては、せっかくの副収入が手元に残りにくくなることも少なくありません。定期的に副業の税金を計算しながら、効率的に節税していきましょう。

Written by 蒼下せな(くさもとせな)
「楽に生きたい」がモットーのイラストレーター&Webライターです。花・動物・サブカルLove。

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